物理的領域の因果的閉包性


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プリンセス・プリンシパル 第6話 『case18 Rouge Morgue』

2017-08-15 2017


脚本:大河内一楼 コンテ:内藤明吾 演出:工藤寛顕 作画監督:小島えり


第5話ではもっとも身近な存在だった父親を使命か運命か、殺さねばならなかった、ちせ。
この第6話では長い間離れていたドロシー、身近な存在になりつつある状況下で殺されてしまう父親。
同じ父親の死でも内容は異なる。この2話を連続して描いたことには意味があると思うし、すごく対照的。

ちせとドロシーだけではなく、身近な存在であり続けようとするベアトと10年間離れていたアンジェもそう。
父親をプリンセスに置き換えてみると、家族のように大事で守り続けたい存在。この2人も同じく対照的。
そう考えるとベアトはドロシーやちせの気持ちもアンジェの立場も理解できる存在。上手い組み合わせです。

金さえあれば幸せになれる。そうではないですよね。いくら正直者で損をしたとしても金で過去は消せません。
スパイとしてのドロシーを考えた場合、父親がいなくなったほうが、変な言い方ですが好都合な気がします。
ただ金を持ち逃げしたのか死んだのかをドロシーが理解していないところが、この物語の悲しいところです。




ドロシーの父親が殺されたのは教会。調べてみるとロンドンではウェストミンスター寺院が一番有名な場所でした。
いろんな写真を見てみましたが、どうやらウェストミンスター寺院ではないらしい。ちょっとそれっぽいとこはある。
それがギルドホールです。教会ではなくロンドン市庁舎ですが。もしかしたらモデルになった教会があるかもです。




プリンセス・プリンシパル 第5話 『case7 Bullet & Blade's Ballad』

2017-08-07 2017


脚本:大河内一楼 コンテ・作画監督:江畑諒真 演出:間島崇寛 作画監督補佐:秋谷有紀恵、鶴窪久子、飯田剛士



ちせとアンジェがトランプのやりとりをするシーン。最初ブラックジャックかと思いましたが、どうやら違うみたい。
はじめは1枚だけ盗んで「ハートの2」次が「ダイヤのエースとスペードの6」順に「スペードの8とハートのエース」
1枚取って見る前にすぐ返されたあと、最後に「ダイヤのジャックとハートのジャック」という形で終わっています。

元々トランプのジャックはネイブ【Knave】と呼ばれ「宮廷に仕える男の召使い」という意味があったそうです。
今回は「おまじない」がキーワードになっていたので、どちらがプリンセスを守るのにふさわしいか占っていた。
前回の case9 で、ちせがプリンセスを守る側に付けなかったことに不満を抱いていたことからもわかるように、
2人で組まなくても1人で十分だという気持ちがあった。だから最初の1枚目は自分を占うためにカードを取った。
そのあとの2枚ずつ取ったカードは自分とアンジェ2人分を占っていて、最後は2人ともふさわしいと結果が出た。

ただの推測ですが、そんなことを思いながらトランプのシーンを見てみると、とても微笑ましいし、可愛らしい。
ちせのセリフやアクションシーンも含め見どころだらけの素晴らしい話数なので、何度も何度も見てほしいです。




サクラクエスト 第18話 『ミネルヴァの杯』

2017-08-04 2017


脚本:入江信吾 コンテ:倉川英揚 演出:筑紫大介 
作画監督:鍋田香代子、辻智子、阿部美佐緒、高橋瑞紀、市原圭子、岩崎亮、福井麻記、末田晃大



チュパカブラ王国からの離脱宣言、差し入れの要求、わらびや共和国の設立。
今まで丑松や由乃たちが苦労してやってきたことをいともたやすく成功へと導いてしまう教授。
踊らされるおでん探偵、頭を下げなくても協力してくれる商店会。キノコ狩りのシーンがそれを象徴する。

見た目がまったく同じように見えていても毒があるキノコと食べられるキノコがある。
つまりは何を選別し、誰を動かすかで状況も環境もまったく違ってくるということ。
美味しいそばを作るのに欠かせない水、大きい大根を育てるために必要不可欠な肥料。
老人は生活の中でどう生きれば最適なのかをよく知っている。知恵そのものよりも大事な習慣や風習。

由乃たちがやってきたことは無駄ではなくて、放熱山脈という番組に出たから教授たちにも知ってもらえた。
しかし人を呼ぶ前に、どういう人たちが住み、どういう魅力があるのかを理解せず、協力だけを強いてきた。
今までの活動は間野山の人たちに毒のあるキノコしか与えていなかった。その選別方法を知らなかった。

教授のモデルは2010年に亡くなった民族学者で文化人類学者の梅棹忠夫でまず間違いないと思っています。
開高健と共に「ウイスキー博物館」という本を出すくらいの酒好き。梅棹忠夫はこんな言葉を残しています。


-- 「なんにもしらないことはいいことだ。自分の足で歩き、自分の目で見て、
そのけいけんから考えを発展させることができるからだ。知識は、あるきながらえられる。
あるきながら本をよみ、よみながらかんがえ、かんがえながら、あるく。
これは、いちばんよい勉強のほうほうだと、わたしはかんがえている。」 --


何もしらないからこそ、探究心が生まれ、歩き出せる。自分で歩き、自分で見れば自然と知識も身につく。
教授の思惑もあったとはいえ、由乃たちは自らの意思で蕨矢集落を訪れ、集落に生きる人たちを知れた。
バス路線の問題が解決したことはひとつの小片に過ぎません。由乃たちが経験をしながら知識を得ていく。
その行動自体に意味があって、劇的な展開や主人公然とした振る舞いに注視する作品ではないんでしょうね。




プリンセス・プリンシパル 第4話 『case9 Roaming Pigeons』

2017-07-31 2017


脚本:大河内一楼 コンテ:迫井政行 演出:山下英美 作画監督:飯田剛志

第4話は第1話の case13 から4つ前の case9 ですから、ちせ加入後でお互いの関係が親密に描かれています。
ですがプリンセスの二重スパイ疑惑やちせの本来の役割など、和やかな中にも裏があるように見せていました。
ひとまず理由や根拠は置いておいて、第4話の段階でこういう内容の話ができること自体がすごいと思うんです。

これまでスパイモノとしていくつも作品があったとしても、オリジナルで19世紀末を舞台にした架空の物語。
魔法少女まどか☆マギカと比べるのは筋も性質も違うとは思いますが、本題に入ったのは第10話でしたよね。
順序通り第9話でこれをやっても面白くない。最初に case13 があってこその case9、素晴らしい構成です。


ローミング【Roaming】はサービスエリア外でも通信ができることを意味するインターネット用語ですが、
【roam】の現在分詞で(あてもなく)歩き回る、放浪するという意味。【Pigeons】はハトのことですね。



ハトの骨格標本でググってみると似たような画像があったので比べてみました。部室にあるのと似ています。
平和の象徴であるハト、ドロシーが言った「白がいい」という言葉、プリンセスはグレーというL(エル)。
今はまだ瓶の中に閉じ込められた状態の白鳩ですが、これから大空に羽ばたけるようになればいいですよね。




プリンセス・プリンシパル 第3話 『case2 Vice Voice』

2017-07-24 2017


脚本:大河内一楼 コンテ:島津裕行 演出:博史池畠 作画監督:服部聰志 総作画監督:鶴窪久子



ノルマンディー公の部下をどうやって殺したのか描かれてませんでしたが、見るとロープが首に巻き付いている。
そしてロープを境にした左と右で明暗が分かれているような描き方。場面の削り方や見せ方が本当に素晴らしい。

ベアトリスがアンジェに砂糖を差し出したシーン。セリフのやり取りも楽しかったのですが、この紅茶と砂糖。
紅茶の発祥がイギリスというのは有名な話ですよね。その昔、紅茶は貴族や上流階級が飲む高価な飲み物。
それと同じくらい砂糖も昔は高価で、上流階級のシンボル。つまり紅茶に砂糖を入れるのは当然のことだった。
アンジェとベアトリスの関係も紅茶と砂糖と同様に親しくなった。そういう意味合いも表現されている気がします。

【vice】
・ 悪徳、不道徳、邪悪。不品行、堕落、非行。
・ (組織・制度・性格・文体などの)欠陥、欠点。
・ ... の代わりに、... に代わって。

サブタイトルにある【vice】にはこの他にも意味がありますが、悪や非行、欠点、~の代わりにという意味。
この話数ではベアトリスの欠点を、アンジェを助けるために、スパイ活動(悪)の一環として代わりに使った。
またベアトリスだけではなくアンジェもプリンセスに会うためにスパイになり、自分自身をも身代わりにした。
身体の一部が機械であることとスパイを演じきることは似ていて、2人ともプリンセスのために行動している。
表に出す部分は違っていても、アンジェとベアトリスは特定の部分で似通っているのが面白いところですね。




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