物理的領域の因果的閉包性


2020年秋アニメの総括

2021-01-22 2020

アサルトリリィ BOUQUET

白井夢結のルナティックトランサーは同じ百合ヶ丘女学院や他の学校のリリィも保持しているレアスキル。
ヒュージに近いエネルギーを人の身に宿す為、強く依存する相手が必要になる、と解説されています。
なぜ川添美鈴が夢結を選んだのか、なぜ一柳梨璃は夢結に引き寄せられたのかは定かではありませんが、
美鈴と梨璃のレアスキル:カリスマとの相性が良い、依存性の高いスキルを持つもの同士だから惹かれ合う。
そう考えると美鈴の異常なまでの偏愛っぷりや梨璃の強い愛情表現の裏付けになるような気がします。

とくに印象的だったのが最終話で結梨の夢を見るシーン。夢結は姉を失い、梨璃は妹のような存在を失う。
同じような境遇ですが、美鈴の声は聞こえない。梨璃は身代わりになった結梨のおかげで百合ヶ丘を救えた。
もし梨璃に妹ができるとしたらルナティックトランサー持ちになるだろう、でも美鈴と同じ結末にはならない。
夢結と梨璃が結びついたおかげで救えた現在、同じ過ちは繰り返さないというアンチテーゼが含まれる未来。
そういった先の展開も見せながら夢結と梨璃の関係性をしっかり描いてきた全12話は素晴らしい出来だった。



魔女の旅々

この作品における魔女はストライクウィッチーズの魔女とは少し違う。人とかけ離れた存在・象徴としての魔女
ではなく、映画 魔女の宅急便のように「人が持つ才能・特技の一種」としての側面を強調しているように見えた。
イレイナが魔女を目指すきっかけや5話で魔法学校を卒業した生徒がそれぞれの進路を決める様子から察すると、
職業としての魔女、なろうと思えば誰でも目指せる魔女見習い・魔女という位置づけが面白い。独特の世界観。
そういった世界観の中で出会う人や魔女たちの交流を、時にはユーモラスに、時には暗鬱とした雰囲気で描く。
話数別に見ると好みが分かれる展開がありつつも、全体で見ると「いい旅だった」と思える内容なのが、すごい。



ご注文はうさぎですか? BLOOM

安定のごちうさワールド、3期はそれぞれの成長を描きながら、関係性を濃密に描き、キレイに完結させてくれた。
とくに最終話のサブタイ「その一歩は君を見ているから踏み出せる」はチノ視点でありながらも、ココアやリゼ、
千夜やシャロ、マヤやメグ、青山さんや凛ちゃん、リゼの父やチノの母に至るまで、すべてに通ずる一言だった。
みんなの背中を見ながら一歩前へ、千夜とシャロは精神的に前進しつつも現状維持、それぞれの違いも楽しめた。



ストライクウィッチーズ ROAD to BERLIN

どうやったら大切な人たちを守れるのか、安定の尻描写や豊乳神の回を挟みながらも、揺るぎない良さがあった。
映像的にはCGパートが多くなり、2期までの水準と比べると劣ってはいるが、声優と尻に助けられた感はある。



GREAT PRETENDER

美術鑑定士のロンドン編もそれなりに良かったのですが、やはり最初のロサンゼルス編には少し負けるかな。
詐欺師の見せ場は駆け引き、そしてキャラ立ち。先の展開が読めなかったCASE1が一番って、すごい出オチ感。



おちこぼれフルーツタルト

下着やパンツを惜しみなく見せるきららアニメ。目の保養にはなったが、ダメな大人を見ていると悲しくなる。
キャラの可愛さ、ふともも、作画も安定して良かったので、次は日笠抜きで。(サビ抜きみたいな感じで)





2020夏アニメの総括

2020-09-29 2020


◆ Lapis Re:LiGHTs (ラピスリライツ)

主人公のティアラを 「けいおん!」に例えると姉の唯が卒業したあと軽音部に入部した平沢憂。
3人体制だった2年生の軽音部とは違い、6ユニット計20人が引き継いだ部活モノと考えれば、
特訓や練習描写の少なさ、キャラ同士の関係性を重視した描き方など、共通点が見えてくる。
3話ではバンプボールを中心に描きながらIV KLOREとの絡み、そしてラヴィとアシュレイの関係性。
4話はこの花は乙女の3人を中心に展開しながらティアラとカエデの関係性、そして姉妹愛の対比。
5話・6話は森の調査司令、Sadistic★Candyとすごろく、IV KLOREのガーネット加入とLiGHTsの絡み。
7話以降はLiGHTs結成と退学、そしてティアラ救出ミッションと全ユニットで魔獣退治&エリザの秘密。
終わってみれば全員集合からの大団円という王道展開ながら、姉と妹の関係を上手く組み込んでいた。



◆ デカダンス

先のない未来にどう立ち向かうのか?をサイボーグと素体、そしてゲームという要素を使って描いてみせた。
システムが作り出したゲームだからこそ、人間の姿で素朴で平和な日々を過ごしたいというタンカーたちと、
ゲームだからこそ限界までチャレンジしたいというギア(かの力)の欲求を描いた7話がとても良かった。
ただカブラギが都合よく助かったり、ジルを筆頭に援助してくれる人物?に恵まれすぎている所が今ひとつ。
ナツメも結局はカブラギをやる気にさせるための援助キャラに過ぎないのか?と思ってしまうと萎えてくる。
それならいっそのことミナトを悪キャラにして葬り去ってからシステムと最終決戦のほうが燃えた気がする。
GREAT PRETENDERもそうだが、悪役が悪役らしくないと盛り上がらない。超電磁砲1期を見習ってほしい。



◆ 彼女、お借りします

ヒロインたちを魅力的に見せるために主人公がクズ役を引き受けるヒロインキャラ萌えアニメ。
クズヤを受け入れられる人だけが楽しめる作品になっていて、限定的な見方になるしかなかった。
そもそもレンタル彼女を借りるくらいなら風俗行くためにがんばってバイトする大学生のほうが潔い。
彼女と性欲を両天秤に掛けたまま展開する今作より異種族レビュアーズを見たほうが普通に笑える。



◆ 放課後ていぼう日誌

きらら的なゆるふわ百合アニメとは違い、部長と大野先輩が保護者的な立ち位置で展開するところが特徴。
酒好きな先生が登場しなくても話が成立するので、そこに尺を使うならキャラをもっと掘り下げてほしかった。
でもそれを差し引いても主人公陽渚の成長を描く、という面では1話から筋が通っていたので心地よく見れた。
2期をやるなら見たいし、合宿や遠征といった形でもいいので別の場所で楽しむ彼女たちの日常も見てみたい。



◆ とある科学の超電磁砲3期

ドッペルゲンガーの真意を掴めた人がどれだけいるのかわかりませんが、本筋以外の話が面白かった。
大覇星祭の競技が行われる2話と3話、黒子と美山写影の17話、佐天さんとフレンダの19話と20話。
1期も佐天さんの14話と鉄装綴里の17話が好き。能力者の世界で努力する無能力者が好物なのだろう。
(ただし女性キャラに限る)



ラピライ・デカダン・かのかり以外は延期した作品だから実質夏アニメで最後まで見たのは3つだけ。
エグゼロスはエロ強めで作画もいまいち、宇崎ちゃんはメガネ声優がいまいち、GOHは言いたい事がない。
リゼロ2期と魔王学院はいつか時間があれば見るかもしれない。秋はどれだけ楽しませてくれるのかな?




Lapis Re:LiGHTs ラピスリライツの魔力と魅力

2020-09-23 2020



オルケストラについて

「人々の思いを集め魔力として蓄積する主な手段がオルケストラ」
と第2話でロゼッタがオルケストラについて説明していましたが、TGS2018ステージで発表されたコンセプトでは

「アイドルは魔女。彼女たちが魔獣を倒す魔法を使うには、人々のプラスの感情を集める必要があり、
そのためのアイドルとしてステージの上に立って人々を魅了する」
という記載がある。月刊コミック電撃大王のコミカライズ版では

「観ている人たちが感じた『楽しい』『嬉しい』『幸せ』という気持ちを力に換えることができる」
とロゼッタは説明している。

第4話でこの花は乙女のオルケストラが披露された際、ナデシコの言った「新曲お披露目」についてカエデは
「リハーサルとも言いますが」と不満げでしたが、曲が終わると「なんだか自信がつきました」と満足した様子。
歌や踊りが上手くいった満足感もあるでしょうが、応援してくれる人たちがプラスの感情を分け与えてくれた。
そう捉えるとカエデの気持ちの変化も理解できるし、応援していたティアラが「すごく元気をもらった気がする」
と言っていた理由も魔力を集めるだけではなく魅了することによってパワーを分け与えていると考えられます。





輝砂と輝石について

アニメ公式サイトを見ると輝砂と輝石、魔女についてこう記載されています。

「輝砂、その結晶体である輝石が動力として普及した街・マームケステル。
輝砂や輝石を利用し、呪文やメロディによって魔法を発動される少女は”魔女”と呼ばれ
歌唱活動や魔獣退治を行い、人々から憧れを集めていた。」

第4話で園芸部を訪れたティアラは「輝砂を含む土だと(植物が)よく育つの」と言っていて、
輝石の原石については園芸部員が「これを砕いて土に混ぜる」と説明していました。
つまり街の原動力、植物の栄養素、魔法の源が輝砂、その結晶体が輝石ということ。
小さな砂が固まって石になるように、人の思いが集まって絆になる。第4話はそんなお話でした。

アイドルモノというと努力と根性みたいなスポ根のイメージが強いですが、この作品はあまり描かれない。
LiGHTsという名前が決まりオルケストラを披露する前にランニングや踊りの練習をする場面が少しあっただけ。
キャラ同士のつながりを中心に描くことが結果的に最終話の「みんなで一致団結する」流れにつながってくる。





映像的な面で言えばキャラが多くて雑然としているように見えますが、後半になってくると徐々にまとまってくる。
第1話でマームケステルの街並みを見て魅了されたティアラの元にロゼッタが寄り添う。
第8話で初のオルケストラを前にアシュレイ以外の4人がマームケステルの街並みを眺める。
最終12話のラストシーンはマームケステルの街並みを眺めるLiGHTs5人で締めくくられる。

街と人、人と魔女、魔女とオルケストラ。人が街を支え、魔女が街や人を守り、魔女も街や人に支えられいる。
その相互関係が清々しい気持ちにさせてくれるし、歌って踊って魔獣を倒すだけではない魅力を伝えてくれた。
既存の魔法とアイドルを組み合わせただけのコンテンツ、ふざけているだけのアイドルモノでは終わらなかった。
それだけでも評価に値すると思うし、これからの展開も楽しみ。シンプルな内容ですがお話はよく出来てたと思う。




へやキャン△ 第6話 「あのころは、ふたりとも」

2020-02-12 2020


脚本:伊藤睦美 コンテ・演出:神保昌登 作画監督:近藤律子



大垣千明と犬山あおいの出会いは小学生のとき。はじめて当たりが出て驚く千明のうしろをあおいが偶然通りかかる。
無理矢理呼び止めて「当たったのすごくない?」と言う千明に「う、うぅん... 」と戸惑った様子で返事をするあおい。
今までにない出来事に喜ぶ千明、それを諭すように「それはよ選ばんと当たりが無くなってしまうで」と冷静なあおい。
慌てながら自販機のボタンを押し、帰ろうとするあおいを呼び止めて、自分と同じつぶつぶコーンスープを渡す千明。




「最初に知り合うたんは中学のときや」となでしこに言うあおい。中学1年生の春。どうやら写生大会をしてる様子。
あおいが「その頃はまだあきの事よう知らんかったわ」と言い、なでしこが2人の顔を見合わせるが、2人共無表情。
階段のところに1人で座る千明と、友達らしき女の子と並んで座っているあおい。この頃はかなり距離がある感じ。




中学2年生の夏。南部町で行われる南部の火祭り。火のついた松明(たいまつ)をカゴに入れる「投げ松明」が有名。
投げた松明がそれて千明に当たりそうになり慌てて駆け寄るあおい。お互いの顔を見て少し驚いた表情をする2人。
「大垣さんやんな、同じクラスの、ほんまにゴメンな」と謝るあおい。何か言いたそうにしながら目を逸らす千明。
立ち上がり「アオヤマイヌコさんですよね」と言う千明に「いや、犬山あおいなんやけど... 」と苦笑気味のあおい。

小学生のとき当たりが出たことは覚えているだろうし、千明の戸惑う様子を見てもあおいを気にして見ていたはず。
しかしあおいは「同じクラスの」という言い方、つまり中学2年生のクラスメイトである認識しかないということ。
あおいを前から知っていると悟られてしまえば「なんで知ってるん?」と追求される恐れもある、それは避けたい。
苦しまぎれにごまかそうとして出た言葉が「アオヤマイヌコ」、実に千明らしい。そんな雰囲気の描写に見えた。




そして高校生の現在。「わたしもハズレたわ」と言うあおい。「みんなの無念はあたしが晴らすぞ」と意気込む千明。
しかし小学生のときのような運は無く「そうそう当たらんよなぁ」と千明、あおいも同じコーンスープを飲んでいる。
あおいが先に飲み物を買っているということは、無意識に飲みたくなったコーンスープなのか、偶然の産物なのか。
もしかしたら知らない振りをしてただけであおいも小学生のときを覚えていることを示すためのコーンスープなのか。

そこまでは定かではありませんが、自販機の釣り銭レバーのところが数字の7に見えて4つ並んでいるように見える。
記事を書いてるときに気づいたんですが、意図してやっているなら細かい演出ですよね。この回は見せ方が凝ってた。
一度見ただけでは気づかないようなギミックが多かった気がする。5分アニメでこれだけ質が高いのは反則ですね。
最終的には当たりが出なくても3人いれば幸せ、当たりがもたらした素敵な出会いがあったという回なんでしょうが、
それ以上にイヌ子呼びの原点や、千明のあおいに対する淡い想いが感じとれる良い回だったと思いました。尊い。





ID:INVADED イド:インヴェイデッド 5話・6話の内容について

2020-02-04 2020


◆ はじめに


ID:INVADED 5話・6話の内容がよくわからないという人向けに本堂町と井波視点から整理したいと思います。
酒井戸が潜った数田遥のイド、ジョン・ウォーカーの行動、井戸端スタッフによる内部犯行説については省略。
井波と数田がどういう人間で何を行ったのか、その結果何を描こうとしていたのかを自分なりにまとめてみます。


◆ 本堂町小春



・ 数田遥が本堂町小春にキスをした。 それは数田本人にとっても意外な行動だった。

なぜ数田は模倣犯の犯行現場にいたのか、なぜいきなりキスをしてきたのかを考える本堂町。
普通の犯人なら警察に見つかって追い詰められたら制止しようとするはず、と松岡は言う。




・ 思念粒子が発見されないのはおかしい。 頭に穴が空いた事で殺人衝動と愛情表現が入れ替わっている。
・ 衝動は行動のきっかけにすぎない。咄嗟に人を殺そうとしたときには間違った衝動のまま行動に移されてしまう。
・ 普通に頭を使いながら殺人を行う事はできる。

これまで思念粒子が発見されなかったのは殺人衝動と愛情表現が入れ替わっているためだと推測する。
実際に人を殺す事はできても、咄嗟の判断を強いられる状況下では「殺したい」が「キス」になってしまう。




・ 数田が誰とも付き合ってないという情報は仕入れていた。
・ 言動から数田が人を殺しているのは井波のためだと結論付ける。
・ 井波が死ぬ様子を見る役割。数田は愛情表現として拉致監禁と人殺しする役割。

なぜか真っ先に井波の家に向かった本堂町、このときにはある程度犯人の目星はついてたんでしょうね。
頭の血を拭う様子や表情、数田の事をはぐらかす言動が気になって確信に変わっていったんだと思います。


◆ 井波七星



・ 13歳のときに1回と14歳のときに2回、数田の家に行ったことがある。
・ 彼氏はいたけど本当に好きな人ではなかった。数田とは付き合っていない。
・ 人の怪我や死ぬところを見るのが好き。
・ 母親は14歳のときに電車に飛び込んで自殺した。

数田とは面識があって家にも行ったことはあるが、最初は数田の一方的な片想いだったんだと思います。
それが母の自殺によっておかしくなり、他人の苦痛を見て喜ぶサディストになってしまった。
そして数田が穴空きに頭を貫通された事で愛情が殺人に変換され、利害関係が一致する。
数田から好きだと想われれば想われるほど殺される可能性は高まり、自分の欲求も満たされなくなる。
だから近づきたくても近づけないプラトニックな関係を保っていたんでしょうね、歪んだラブストーリーです。

5話は本堂町視点の推理中心に展開されるので井波の本音や数田の心情、犯行の過程などは描かれない。
しかし6話で素直に犯行を認め、死んでいく数田に近寄ろうとしたり本堂町に嫉妬したりする。
犯罪心理はなぜ犯人がそういう行動をするようになったのか、その原因が重要になってくるんですよね。
5話と6話の場合は犯罪心理に重点を置いた回だったし、今までアニメで表現されなかったような描き方。
戸惑う気持ちもわかるし、難しいそうに感じるかもしれませんが、きっかけが見つかると楽しめると思います。




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