物理的領域の因果的閉包性


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アウトライターズ・スタジオ・インタビュー 第13回 「波野淵紺さん」

2016-02-26 インタビュー


アニメの感想をブログやツイッターで表現されている方々に質問して答えてもらう
『アウトライターズ・スタジオ・インタビュー』
第13回は『波野淵 紺のnote』の波野淵紺さん @nocitponap です。


アニメを好きになったきっかけを教えてください。

いまにつながるきっかけは、ある友人がエウレカセブンが面白いと言い、別の友人がその中でも32話が良いよと推し、それで見始めたところに、また別の友人がコミケに連れて行ってくれたことで世界が広がった、という感じですね。
『げんしけん』を読んだせいで、一時期よりも「アニメを見る」ことに心理障壁が下がっていたところに畳み掛けられたのが致命的でした(笑)

「あっという間だ。本当に、あっという間だった……」(アクセル)


好きなアニメ作品を教えてください。

わが青春のアルカディア
響け!ユーフォニアム
サムライフラメンコ
アルドノア・ゼロ
ねらわれた学園
残響のテロル
サイコパス
あいうら
偽物語
氷菓

思いつくままですみません。


好きな作品の中から1つ選んで、好きな理由を教えてください。

今は「響け!ユーフォニアム」ですね。
理由は……いまニヤッとした方には説明するまでもないんでしょうが、久々にどハマりしたキャラ(中世古香織)が居るからで、そんなどハマりしているワタシ自身というモノも含めて楽しんでいます。
細かいところまで、よく考えられているなーというところに好感がもてるし、それゆえ見直せば、見返せば、それだけいろいろ考える契機が出てくるからではないでしょうか。あと、美しい(色々と)。
ショートと泣き黒子のトランペット奏者じゃないかって?それも理由ですね(笑)否定はしません。(義務感)

もっとも、バイオリズムや季節やその他諸々で変わってくるので、今(今季)を大切にした答え、ということで笑ってもらえればと思います。


主に作品のどういう部分に注目しますか?

注目する……と言うのとは、少し違うのかもしれませんが、見ることで得たいのは、「美」と「快楽」と、あと未だワタシの知らない「気持ち」です。
見ていく作品のなかに、これらの要素を求めながら見ていると思います。

ワタシが書くものは、恐らく、ほんの一瞬のシーンやらカットやらに触発されて現わされたのものが多い……と思っているのですが、たぶんそういう一刹那に、美しさが際立ち、気持ち良さ(快楽)も突き抜け、深く感情移入できる、そういう瞬間が宿っているんだろうな、と思います。
なんだか質問からは離れたところにいきそうなので、とにかくそういう「他とは違く見える、心を奪われる一瞬があるか否か」に注目してます、ということで軌道修正して、答えたことにしてください。


あなたにとってアニメとは?

ワタシと他者の間にあるエーテル、あるいはワタシと他者をつなぐメディアです。

自分のためだけに限ってしまえば、それは……
思考のためのブドウ糖、
時間的にはご飯のお供(断食多目)、
効能は精神洗浄、
……という感じになりそうなものですが、でも、たぶん誰とも話すでも意見を交わすでもなければ、こんなには見てもいないし、まがいなりにも発信するなんてことはないんだと思うんですよね。なので、やはりワタシと他者の間に在るものなんだと思います。


感想(考察)を書こうと思ったきっかけを教えてください。

何かを読んで、観て、そして書いていないと死んでしまう病にヤられちまっているから。
……という答えでもいいですか?駄目ですか?
ダメだという人には、自主練、自主トレという意味合いが大きいと告白しておきましょう。
小慣れていない文章しか書けないので、なんとかして他人様に読んで頂ける文章を書けるようになりたい、と思ってのことです。それを何とかしたい、というのがきっかけですね。
で、それなら楽しいこと、好きことについてなら、少しは伝えやすいんじゃないかな?と思って、それでアニメを見て、なにかが「来た」ときに書くようになった、という感じでしょうか。


感想(考察)を通して何を伝えようとしてますか?またどう伝えようとしてますか?

まず、個人的な区別にはなりますが、ワタシは感想でなく、だいたいにおいて考察を書いているつもりでいます。この違いについては、後ほどお話しする機会があるでしょう。
で、それとはちょっと違う話になりますが、基本的には、ワタシは何かのパロディ的なものを作り、そこに作品を観て考えたものを入れ込んでいる、というスタイル(伝え方)をとっているんですよね。
見て思いついた(駄)洒落、凄いと思った感動(をヒネったもの)、作品と関連する本やテーマと言った「種本」「ネタ本」の存在。
こういったものたちを散りばめて、混ぜ込んで、どれか届けばいいな、と思って伝えようとしている……つもりです。
……伝わらない?

切り替えて、判り易く例を出しましょう。
京都アニメーションの『氷菓』の18話に「連峰は晴れているか」という回があります。
この終盤で千反田えるが、「うまく、言えません」と口籠ってしまうシーンがあります。しかし、観ている者には、えるが何を言いたかったのかが解る気がするんですよね(笑)
こういうものについて考えたことの「答え合わせ」。そして、その答えに辿り着くまでの、道中の思い出。答えと道のり。これらが伝えようとしていることだと思います。
伝えようとしていることが、作品とワタシの距離の概算――あるいはワタシがその作品のどこに辿り着いたか、といった内容なので、それがわかる地図を書いて伝えようとしている、といえるかもしれません。伝えたいことの、そこに至るまでの地図を描く――そのかわりに、文字に置き換えている=書いている、そういう感じです。


あなたにとって感想(考察)とは?

感想と考察については、ワタシの中の区別では、醸造酒と蒸留酒の違いみたいなものとして仕分けています。ビール、ワイン、日本酒というより、ウィスキー、ブランデー、グラッパ、ウゾ、コニャック。これは消費と生産は別なので、創りたいからと言って、そう言うものばかりを求めているというわけでもないところは、ちょっとはじめに釈明しておきますね。
(お酒は二十歳になってから!)
さて。
感想は、考えるまでもなく湧き上がるものの様におもっています。それは、果物でも、穀物でも、糖分の入っているものを咬んだり、外に置いといたりすれば、そこに酵母が混ざったらアルコールが発生してしまうわけで、そういう風に放っておいてもできるお酒かなー?と思うのです。もちろん、美味しい醸造酒もあるし、日本酒の様に発酵の過程が二段階だったりするものもある。それはそれで素晴らしい。そういったものを美味しくいただくことも、ワタシ自身、あります。
でもワタシが創りたいのは、もうちょっと純度を高めることで抽出できるもの、なんですよね。だから、蒸留酒。自分の感想をもとに、煮詰めたもの。感想は、もう揮発して残り香がある程度。そういうエッセンスを取り出したい、と思っています。
とはいっても、noteなどに書く時には、一応それを割っているつもりなんですけど、でもやっぱり癖が強すぎたり、受け付けないようなものだったりすることは、ママあるんだろうな……と自戒したりはします。
なぜ蒸留酒を目指すのか、と言えば、突き詰めると人間と動物を分け隔てるものが思考にあると考えているからなんだと思います。
考えるのって、楽しくないですか?


ブログを書く場合、構想?日、実際に書く?時間、書いている時間に遊んでしまうことはよくある?

最後まで(オチ?的なものまで)書けそうかどうかを見極めたり、ちょうど良いネタ本があるか考えたり、そんな風に2〜3日ふわふわさせていることが多い気がします。
書く時間は本当にまちまちで、書けるところまで書いて、続きをメモして寝たり……なんてこともありますが、スイッチが入ったら一気に書くことが多く、その場合は終わるまで続けます。平均すると、一度に実質3〜6時間くらいのものでしょうか。そこには、入れ替え、推敲、追加や削除も含まれていて、そうやって上から下まで「流れる」ようになるまで、何度か(飽きるまで?)この工程を繰り返すようにしています。

本当なら脱稿してから、出来れば一日寝かして、もう一度推敲して、手を入れてUPしたい……のですが、早く読んでもらえるようにしたくて、まぁいいか、というところで公開して、それからチョイチョイ直すことが多いです。紙でないので、どうしてもその辺の詰めが甘くなって良くないな〜とは思っているんですよ?!

ワタシの中では、アニメについて書いている時間は遊んでいる時間のようなものなので、その間は「考えて→書く」に没頭してると思います。気分転換に料理をしたりはありますが、これは肩こりと腰痛の防止を兼ねているので、遊びとは違うかな。

もし飽きて書くのが止まったり、あるいは途中で面白くないなぁー、と思ったら、何千字書いていても、そのままお蔵入り……なんてことも、ままあります。

こんな感じでしょうか。


好きなキャラ・制作会社・スタッフを3つ(3人)ずつお願いします。

――好きなキャラ
中世古香織(響け!ユーフォニアム) パートリーダーにつながってくる部活内での滅私・利他的な振る舞い(これは「静」と言えるでしょう)。そこから、個人の演奏者として追及したい、納得したいがための「動」への移行。それが集約された、静かなる挙手という動作と、その意志を余すことなく伝えている表情。このような筆舌に尽くしがたい造形的な美しさ、いじらしくもマイペースな性格、そして声。こういった要素のベスト・マッチングは、キャラの背景などの妄想を膨らませるに十分な魅力に満ちあふれた(ヒロインではなく)マドンナでした。

鶴見知利子(あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない) つるこにあてはまるカテゴリを探してみると、おそらく知的美人というものに収まるのだろうと思うわけです。そこには、高校に入ってオシャレなものに掛けかえる眼鏡や、ヒロインにはなれないことが約束されているポジション(ヒロインに恋する当て馬に恋してしまっている立ち位置)など、無数の要素が分かちがたく結びつき、そうした彼女を形作っているわけです。詳しくは拙筆『知的美人の表象』(3年前から近刊予定)で論じたいと思います。

真島太一(ちはやふる) 他の方の回答を見ていて、当たり前のことなんですけど、ふと気付いて入れようと思った男性キャラに彼を選びました。アニメ2期19話(第十九首)の団体戦決勝クライマックス、努力を尽くして、人事を尽くして、天命を待つという彼の姿勢を目にした時、「かくありたい」と思わないことがあるだろうか? もちろん、このあとで報われるからこそイイ!というところは否定しませんが、それでも、それを素直に「よかったね」と思うことのできる稀有なキャラクターだと思います。もっとも、運命戦で彼の手元に残され、そして勝利につながった札は「ゆくへもしらぬ こひのみちかな」という彼自身の恋の路の不安を代弁しているものでしたけれども、それでも、それ(その路)を全力で取に行くところに魅力を感じます。

――好きな制作会社
PAや京アニといった線もあるのですが、どこにも良いところがあって挙げ始めるとキリがないのに加えて、そういったものより、より根源的なところで、少し説明を足すということで、次の2つを挙げることにしたいと思います。

 シャフト ……制作会社をはじめて意識して観るようになったのは、やはりシャフトだったなー、と。それは新房監督作品などの演出に見られた斬新さ、スタイリッシュさに魅せられてのことで、以来クールごとに気になっています。
 ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ ……『紙ひこうき』(_Paperman_:2012、第85回アカデミー賞短編アニメ賞受賞作品)への敬意を込めて。短い中でしっかりと「動き」に社のカラーが盛り込まれているあたりも、流石だなと思います。

――好きなスタッフ
3人に絞って挙げるというのはなかなか難しいですね。
主題・ストーリーの選び方・つくり方から、キャラ造形や声の当て方、音楽の選び方など、おおよそアニメづくりの哲学のようなところまで、まるっと好みのものを作られているな~と思うのは中村亮介さんになります。
また、アニメーションはやはり「絵」があってのことだと思うので、その線で好きなアニメーターからお二人、梅津泰臣さんと、大田和寛さんのお名前を挙げたいと思います。ワタシの中でそれぞれの持ち味として特徴的だと感じているのは、クールな直線と、温かみのある丸い線によって、お二方それぞれお描きになるものの個性が出ている気がしていて、その点では好対照でありながらも、しかしどちらもとても魅かれる絵をお描きになる方々だと思っています。
お三方のご活躍が今後も楽しみです。


影響を受けたブロガーと読んで影響を受けた記事を教えてください。

エッセイ的なもので「こういうものが書けるようになりたいな」と思いながら読んでいたものに、先見日記がありました。ずいぶんと前に、とても日本語に飢えていた時があって、そんな時に気軽に読めた港千尋さんの文体とか好きだったので、薄い繋がりながらも、あるいは影響を受けたと言えるのかもしれないのは、このあたりにあるように思います。
アニメ絡みで、さらに最近に限ったものですと(といっても数年単位での振り返りにはなりますが)主題や論旨展開なども含めて影響を受けた(というより「触発された」という方が適切かもしれませんが)ことがあるのは籠原スナヲさんでしょうか。最近はちょっと追えていませんが、紙にもブログにも、常にクリアカットな論考をお書きになっていると思っています。その中でも虚淵玄についての記事 「バッドエンド症候群を超えて ――虚淵玄論(小説『Fate/Zero』について)」 - 鳥籠ノ砂 ; 「奇跡と救済、愉悦と転回 ――虚淵玄論2(『魔法少女まどか☆マギカ』について)」 - 鳥籠ノ砂 からは刺激を得るところが多く、論じられていたテーマをお借りして「完全なる破綻―― 似ている二人の運命と『PSYCHO-PASS』における社会の理」 を書きました。
自分の過去記事を焼き直しでもしようかな? ……と思うきっかけになった人はもっといますが、一から書いてみたいと思ったきっかけとして、上のものが思い浮かびました。


BD・DVD以外に購入するものは?(イベント参加可)

一時期ノイタミナの先行上映に足繁く通っていた時には、ノイタミナ・カフェのメニューを購入してはコースター等を集めたり、気が向いたらキーホルダーを購入したりしていました。
あとは、原画集や絵コンテ集。リソースとスペースの関係で蒐集癖を抑えつけてはいますが、ふとコーヒーなど飲みながらこういったものを眺めるのはとても楽しいですね。最近?だと『四月は君の嘘』のOP/ED原画集や横山愛さんのアルスラーン戦記のEDカットが収めたアートブックが至高です。


あなたが感想を書いていくためのモチベーションは、どこから湧いてきますか?またモチベーションを維持する方法など

書くことのモチベーションというのは、おそらく「うまくなりたい!うまくなりたい!うまくなりたい!」(黄前久美子)という事なんじゃないかと、この質問に向き合いながら思いました。うまくなれば、もっと伝わる、もっと書ける、もっと読んでもらえる……かもしれない。
では、その源泉は? というと、これまであまり考えたことがなかったですね。

上でも述べましたように、ワタシの考えるところの感想は自然に湧いてくるものですから、これについてはツイッターなどに「思わず……」投下している感じです。もっとも、これには特段のモチベーションも不要で、何かを感じるものがある作品を見るだけで十分です。
むしろ、この感想(醸造酒)を蒸留して評論なり(スピリッツ)にするために考察して、それをきちんと書き上げるまでには、モチベーションが必要になるとは思います。それも、書く「きっかけ」と、書き上げるまでつづくだけの「燃料」が必要になるのかと思います。書いてnoteや同人誌に発表するものを仕上げるには、やはり締め切りを意識することが燃料になります(ただ書いていて、これは単に尻に火が付いたというだけなのでは? という気がしてきました)。
それにも増して重要になってくるのは、そもそも「また」書こうと思う「きっかけ」なんじゃないかと思います。書くという事をくり返そうとする、その繰り返しにつながるモチベーションみたいなもの。書くという行為の背景にあるようなもので、こういった意味でのモチベーションにつながるものはといえば、それは書きたいモチーフを読んでくれそうな人の存在だと、ワタシは思います。読者を想定して、意識して書く。これがモチベーションになるのではないでしょうか。
読んで下さる、いま読んでおられる読者諸氏の存在あって(想像し得て)のものなのだと思います。


宣伝・アピール欄

上で答えてきましたとおり、いま見てくださっている方にも「お読み頂ければ……」と思いながら note をブログ的に使いながら評論というか批評というか考察というかエッセイ的なものを書いていますので、よろしければ今年に入ってから書いた
「Restore … what?(何を復元しているの?):『ガラスの花と壊す世界』の玉種」
「赤髪の時代――その品(アイテム)が地図になる」 あたりをお読み頂ければと思います。今年は月一のペースででも行ければ……なんて考えていますので、気が向いたら読みにいらしてください。

なかなかインタヴュアーの想定するような回答をお返しできなかったのではと申し訳なく思っています。ですが、いろいろと思いを巡らせる良い機会になりました。ぎけんさんの仰る、5年後、10年後に見返したとき、「いま」楽しい!と思っているアニメを、どのように思い出すのか。これが一つの楽しみになりました。
ぎけんさん、ありがとうございました。



・ インタビューにご協力頂きありがとうございました

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