物理的領域の因果的閉包性


マイベストエピソード10選

2016-08-19 ベストエピソード


元記事:マイベストエピソード10選 - あにもーど @isoisoyuji


D.C.II S.S. ~ダ・カーポII セカンドシーズン~ 12話 『記憶の淵』

脚本あみやまさはる /コンテ演出 及川啓 /作画監督 鈴木豪・緒方浩美 /総作画監督 島沢ノリコ 枡田邦彰

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『どこに行くかじゃなくて、誰といるかが大事なんですよ』と語り、残された主人公・義之との時間をこれまでの分を取り戻す勢いで過ごそうとする朝倉由夢。
そしてその対比として、義之と共に過ごしたい気持ちを抑えてでも彼が消えないように全力で方法を探す朝倉音姫。
デートも佳境というのに音姫のところに行ってあげてと義之を送り出す由夢のデキた人間ぶり、また、堀江由衣さんの切ない演技にも感嘆するが、
義之の残りの時間は夜の訪れまで、というところは風景描写にも現れており、夕焼けの方に向かって走る義之からそれを見て取れる。
この挿話では曇り空→束の間の晴れ→夕暮れ→夜空、という移り変わりが時間経過を意識的に引き出すよう働いており、没入感が高い。
最後、義之が消えるシーンでの音姫の演技(ここは当然、音姫の所作や泣き顔と高垣彩陽さんの名演をともに指す)は
この作品をこのために見たとしてもけして費やした時間を無駄と感じさせないパワーがある。一つの山場が作品全体を引き上げる好例。
作画面においてもfeel影が随所に見られ、相当な修正が入っている。もともと島沢キャラデザが大好きなので、嬉しいサプライズであった。


ベン・トー 4話 『豚肉生姜焼き弁当 852kcal』

脚本 山田由香 /コンテ津田尚克/演出 津田尚克・坂垣伸/作画監督 かどともあき

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著莪あやめ、主人公・佐藤のいとことして唐突に現れる彼女による番組ジャック。opが専用の映像に専用の曲。
加藤英美里さんのくせになる歌声とかマラカス振ってる槍水先輩とか、見どころたくさん。本編そのものは自宅でゲームデート(?)から始まりなんとも言えぬ生々しさがある。
セガゲーの画面はそれとともに育ってきた世代には生々しさプラスオン間違いなしである。
そういった視聴者との距離感の近さと裏腹にメガネに映る彼女の拡大された図像は嘘っぽいんだけども、存在感を主張する演出として大いにアリ。
(本作の変わった演出はほかの回でもどん兵衛の中から覗いたカメラなどでしばしば見られる。)

ひとつのヒロインにフォーカスした挿話ではあるが、作品でも1、2を争うアクションシーンや、他のヒロインの拾い上げ方などは
他のこうした挿話の見られるアニメと比べても『無くてはならない話数』として機能している点が非常に面白い。
もっとも、そんな作品の歯車として現れた著莪あやめの可愛さを目に焼き付けるのがこの挿話を楽しむ上で最も大事であると思う。

完全に余談ですが、コンテ演出の津田さんはプラネタリアンがすごくいいですね。ステマしますw


フルメタルパニックふもっふ 7話 『やりすぎのウォークライ』

脚本 志茂文彦 /コンテ 演出 三好一郎/作画監督 多田文男

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フルメタふもっふは他にも面白い回がいくつもありますが、AパートBパートが全く別の内容となっている回も多く、30分1本として見た時にはこの回が最も印象深い。
冒頭、千鳥かなめはスポコンをさして『見どころのあるヤツが頑張るのがいい』と評していたが、後半15分は相良宗介によってそのロジックからは大きく逸脱したスパルタ訓練が行われる。
見どころがあるかどうかではなく、一方的に戦士として屈強に育て上げられる姿は見ているだけで涙と爆笑を誘う。
前半15分で、小さな蜘蛛に怯えていた浦沢漫画風の心優しそうなデザインのラグビー部キャラがどんどん死んだ目になっていく様は教育の素晴らしさを実感させる。
こうした挿話持った作品が今後京アニにオーダーされることはないんじゃないだろうかという不要な不安を覚えている。1回見たら忘れない回としてはこれほどまでにこの企画向きのものはないだろう。

本筋とは全然関係ないが、セーラー服に身を包んだ千鳥かなめの可愛さはちょっとしたすごさ。会長分かってると言わざるを得ないだろう。

あと、京アニ最近はあまり魚眼レンズパース使わなくなったなーと少し寂しかった


エイリアン9 1話『第9小学校エイリアン対策係』

脚本 村井さだゆき /コンテ 藤本ジ朗・入江泰浩/演出 藤本ジ朗/作画監督 入江泰浩・岩倉和憲

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奇怪な設定を持った作品はこの豊作の時代山ほどあるが、キャラと映像ともに、その不安感にコミットしているものはないだろう。
校庭に墜落したエイリアンの大きな影や、ボウグを与えられる部屋での柱の影など、キャラの影を描かない分
光源と風景から切り取られた影はふんだんに盛り込まれており、上述の不安感を作り出している。
この度再見して気がついたことがあるが、主人公の名前がすごく沢山呼ばれているアニメである。
冒頭から委員選定の投票シーンで『大谷さん』『大谷さん』『大谷さん』・・・。
名前を呼ばれ続けるというのは一種のプレッシャーとして作用していると思われる(少なくとも自分は再見時にちょっと胃がキリリとした。)
それ以降も何度も呼ばれ続けることで大谷さんを追い詰めていく。助けてと言って拒絶され、自己防衛でエイリアン殺して怒られて・・・大谷さんの苦労が見て取れる。
実は以降の回も名前が連続で呼ばれるシーンがいくつかあるが今回は割愛。4話もいいぞと一応お伝えしておく義務はあるけれど。
また、アクションシーンのレイアウトは真正面から撮り続けることを良しとせず、常にアオリ・俯瞰を意識したものになっている。
30分間見ごたえのある映像が続き、映像から目を離すことが出来ない。高級感のあるアニメと言われると自分はこのアニメや『To heart(OVA)』などが思い出される。


ひぐらしのなく頃に 17話 『目明し編 其の弐 ケジメ』

脚本 中瀬理香 /コンテ 寺東克己/演出 吉田俊司/作画監督 高橋敦子

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大きくわけて言いたい事はたった二つ
『雪野五月は最高』
『爪剥がし器具が本気で怖い』
ひぐらしのなく頃にに、自体が村社会の恐ろしい部分を大きく描き出した作品であるのは周知の事実かとは思うが、映像も会話劇もそれを凝縮している。
初めて見た時は件の爪剥がし器具のシーンで思わずテレビを消したほどの印象深い回。今回も全部見切ることが出来ませんでした。本当に怖い。


女子高生 -GIRL'S-HIGH 2話 『身体検査は乙女の恥じらいの薫り。』

脚本 伊藤美智子 /コンテ 福田きよむ/演出 耶馬たかし/作画監督 石井繁

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原作愛好者としてどこまでやるんだろうと思ったら『全部やった上でさらにプラス』してくるのがアニメ女子高生のヤバイところだと思うが、
この回はそもそも原作を読んだ時に大変インパクトが大きい回だったので期待値は高かった。
姫路の脱処女暴露とキスマークに、女性の常識なれど男性がそれを知る必要があるのか、というトイレのシーンなど、なんというか全体的に酷いのだけれど、
アニメーションとして声が乗っかることでそのインパクトはさらに大きくなっていく。名演かどうかは置いておいて、アニメーションにおける声の重要性を再認識した。
この作品も4話とどっちを上げるべきか迷ったが、女子高生らしさで選ぶならこの2話で間違いなかったと思っている。


ましろ色シンフォニー 7話 『たそがれ色のブランコ』

脚本 浦畑達彦/コンテウシロシンジ/演出 荒井省吾/作画監督 服部憲知・坂本千代子・小林雅美・古賀誠・藤森由奈/総作画監督 川村敏江

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ウシロシンジによる美少女アニメのコンテ。これだけで個人的な評価基軸としては十分かと思うが、例のブランコや負け犬公園などの
当時のクール全体を引っ張るほどのエポックメーキングな概念が飛び出した回でもある。愛理と紗凪の微妙な駆け引きは見ていて複雑な気分になる部分でもある。
複数人のキャラの配置という部分でウシロシンジのコンテはやはり冴え渡り、大変見やすい挿話となっている。


戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー 37話 『令嬢より愛をこめて』

脚本 デイビッド・ワイズ

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トランスフォーマーの持ち味はよく、キレすぎたキャラから産まれる笑いにあると言われることがあるが
やけに完成度が高かったり、示唆的オチを提示してくる回があったりするところに真の魅力があると思っている。
37話はパワーグライドというトランスフォーマーにトンチキな大企業令嬢が恋をするというロボットと人間による恋愛絡みの回なのだが
この令嬢がツッコミどころ満載で、自分の誕生日パーティなのに笑顔の人間がいない!と言って怒鳴り散らしたあとに周囲にたしなめられたと来ると
『私の誕生日パーティなんだから私がどうしようと勝手でしょ!』と何故かもう1度キレ返すという変人具合。
また技術者として致命的な機械との相性の悪さからあのメガトロンをも翻弄することになる。
『いいか、これを受ければお前は廃人になるんだぞ』というメガトロンの慈悲に対して高笑いしながら装置を壊す姿にはなんとも言えない気持ちになる。
この令嬢と、それに尽くすパワーグライドはお互いを『手が掛かる可愛いパートナー』として認識しており、30分を通して徐々に関係性が構築されていくところが面白い。
脚本が外国のものということもあって、純粋な日本製アニメにはない独特な距離感がある。

トランスフォーマーには魂となるスパークがある。つまりロボット生命体だから感情はあるわけなのだ。
パワーグライドの胸部パネルにハートが浮かぶ演出はベタだが、トランスフォーマーという作品の魂の部分にまた恋愛感情というものもあるのだということを示す上で重要な回だとも言える。
本作の受け皿の大きさが垣間見える。


新世紀エヴァンゲリオン 9話 『瞬間、心重ねて』

脚本 薩川昭夫 庵野秀明 /コンテ 樋口真嗣/演出 水島精二/作画監督 長谷川慎也

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アスカがメインで絡む回はどれも好きなのだが、僕はこのあたりのエヴァの雰囲気がすごく好きで、それはもう新劇場版などではほとんど失われてしまった要素だと思う。
例えば、冒頭にアスカがレイに喧嘩を売りに行くこのシーンだったり。
鍵のない部屋は日本人の察しと思いやりの表れ、つまり怒って部屋を出たアスカが強く戸を閉めてその強さで半開きになるのはアスカの心の壁が少し開いたことを意味しているところだ。
また、決戦前日の夜半にアスカがシンジの横で眠ろうとするのはこれもまた、自然な演出である。
こんなまっとうにラブコメしてて、どうしてあんなことになったんでしょうねぇ・・・。結局、シンクロ攻撃の説得力の有無はこうした展開の上手さにさらさらと流されるのである。

また、スパロボでは合体攻撃扱いで以降何度も使い回されたりするわけですがそれはまた別の話。

それにしてもスタッフ豪華だなあ。


SHUFFLE! 7話 『恋愛スクランブル』

脚本 鈴木雅嗣/絵コンテ 演出 作画監督 後藤圭二

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細田直人監督回を中心とし、あおきえい回など粒ぞろいなSHUFFLE!ですが、この亜沙先輩の回は行き届いた後藤圭二回といって差し支えないかと。
後半の展開は波乱万丈ですが、ここまでの各キャラ紹介の回がわりと時間をかけてやったからこその成功であり
特にこの回は亜沙先輩が自身の気持ちを認めていくところを描いているので、他のヒロインとはけっこう毛色が違う回になっていていいアクセントだったかと。
そもそもそれ以前にやっぱり先輩キャラはいいよな。

『僕の場合、好きとか嫌いじゃないんだよなあ。』
『もう少し今のまんま、みんなでバカやってたいんだよね。』
このへんのセリフ、ハーレムもののアニメのヒロインとしてはなかなかメタでいいセリフではないだろうか。
この回の亜沙先輩は前髪の解釈がほかの回と全然違うのがカッコイイ。ほかもみんな唇の書き方が立体的で可愛い。


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