物理的領域の因果的閉包性

ろんぐらいだぁす!第1話 『小さな奇跡』 感想


脚本:高橋ナツコ コンテ・演出:吉原達矢 
作画監督:普津澤時ヱ門、大高雄太、和田たくや、実原登 自転車作画監督:伊集院いづろ



第1話Aパート。自転車を見に行く倉田亜美(cv.東山奈央)と新垣葵(cv.五十嵐裕美)。
1軒目の『Alpaca Cycle』では値段が高くて買えず、2軒目の『サイクルショップ ほしみ』で運命の出会いを果たす。
自転車に近寄り「でも、やっぱり、高くて買えないんじゃ...」と言ってから音楽は止まり、無音を経て再び音楽が流れる。
値段を見ても信じられない倉田亜美。しっかりとした金額を認識するまでの約2秒間が無音になっているんですよね。
劇伴をぶつ切りしているわけではなく、2つの曲をつないでるわけでもない。元からこういう1つの曲だったんだと思います。
曲の尺に合わせて映像を作り、タイミングを合わせているんだと感じました。そのくらい自然な流れで曲が流れていました。




そして「この子に決めたよ!!」と言って購入を決意します。でも曲はまだ続いています。
「さくらの散歩道」の看板を描写する短いカットがあって、綺麗な桜の並木道を2人で自転車を押しながら歩きます。
もう少しで曲が終わりそうという瞬間に「即決だったな」という新垣葵のセリフが入り、ここでようやく曲が終了する。
そしてその直後に倉田亜美の「だって、居ても立ってもいられなくて...」というセリフが入り、歩きながらシーンが切り替わる。

この第1話はほとんどの場面で倉田亜美の心情に合わせた曲の始まり、そして終わり。シーンごとの劇伴ではないんですね。
曲が感情に寄り添っているからこそ、自然に曲が画面に馴染んで耳に入ってくる。とくにこのAパートのシーンは素晴らしい。
すべてがこれに準じて作られているわけではなく、コミカルな音楽のときはシーンの終わりと同時に曲が終了するところもある。
劇伴の始まりと終わり。ここに注目しながら見ると、曲が映像の土台を支えてるんだなぁということが感じられると思います。


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