物理的領域の因果的閉包性


サクラクエスト 第18話 『ミネルヴァの杯』

2017-08-04 2017


脚本:入江信吾 コンテ:倉川英揚 演出:筑紫大介 
作画監督:鍋田香代子、辻智子、阿部美佐緒、高橋瑞紀、市原圭子、岩崎亮、福井麻記、末田晃大



チュパカブラ王国からの離脱宣言、差し入れの要求、わらびや共和国の設立。
今まで丑松や由乃たちが苦労してやってきたことをいともたやすく成功へと導いてしまう教授。
踊らされるおでん探偵、頭を下げなくても協力してくれる商店会。キノコ狩りのシーンがそれを象徴する。

見た目がまったく同じように見えていても毒があるキノコと食べられるキノコがある。
つまりは何を選別し、誰を動かすかで状況も環境もまったく違ってくるということ。
美味しいそばを作るのに欠かせない水、大きい大根を育てるために必要不可欠な肥料。
老人は生活の中でどう生きれば最適なのかをよく知っている。知恵そのものよりも大事な習慣や風習。

由乃たちがやってきたことは無駄ではなくて、放熱山脈という番組に出たから教授たちにも知ってもらえた。
しかし人を呼ぶ前に、どういう人たちが住み、どういう魅力があるのかを理解せず、協力だけを強いてきた。
今までの活動は間野山の人たちに毒のあるキノコしか与えていなかった。その選別方法を知らなかった。

教授のモデルは2010年に亡くなった民族学者で文化人類学者の梅棹忠夫でまず間違いないと思っています。
開高健と共に「ウイスキー博物館」という本を出すくらいの酒好き。梅棹忠夫はこんな言葉を残しています。


-- 「なんにもしらないことはいいことだ。自分の足で歩き、自分の目で見て、
そのけいけんから考えを発展させることができるからだ。知識は、あるきながらえられる。
あるきながら本をよみ、よみながらかんがえ、かんがえながら、あるく。
これは、いちばんよい勉強のほうほうだと、わたしはかんがえている。」 --


何もしらないからこそ、探究心が生まれ、歩き出せる。自分で歩き、自分で見れば自然と知識も身につく。
教授の思惑もあったとはいえ、由乃たちは自らの意思で蕨矢集落を訪れ、集落に生きる人たちを知れた。
バス路線の問題が解決したことはひとつの小片に過ぎません。由乃たちが経験をしながら知識を得ていく。
その行動自体に意味があって、劇的な展開や主人公然とした振る舞いに注視する作品ではないんでしょうね。


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