物理的領域の因果的閉包性


ガーリー・エアフォース第10話が面白かった

2019-03-17 2019


脚本:吉田伸 コンテ:和田純一 演出:高島大輔 作画監督:長田好弘、山田真也



まずこの話数で特徴的だったのは『親指を握る』と『対象とは無関係な物』、この2つのシーンです。
グリペンが鳴谷慧(以下:慧)の親指を握るところ。宋明華(以下:ミンホア)が親指をギュッと握りしめるところ。
手の5本の指にはそれぞれ感情が示されていて、それをつかむことによって感情を和らげる効果があると言われています。
親指には「心配」「不安」「自己防衛」などの感情が示されているそうです。「指つかみ」で検索してみてください。
それを参考にすると、ザイの存在意義に不安を抱く慧をグリペンが『大丈夫』と言っているようにも見えてきます。
また、慧から「世界で一番大事な人」と言われたミンホアの不安からくる自己防衛手段とも受け取ることができます。
ミンホアが親指をつかむ前に人差し指を擦るところもすごく良くて、人差し指には「恐れ」の感情があるそうです。

ファントムと慧が河川敷の土手から落ちるシーン。通常なら揉みくちゃになってラッキースケベになる展開。
しかしそういう描写は無くバッタが飛び立つだけ、ミンホアが慧をビンタをするところはぬいぐるみがズッコケる。
こういう間接的な表現は他の作品でもよくありますが、この作品ではあまり見られなかったので印象に残ります。




間接的な表現とリンクするのが『感情の逃し方』ですね。表情を直接描かず背中で語ったり口元を少し出したりする。
ミンホアが「それって危険なこと?」「みんなの未来に関わること?」と言いながら慧に質問を投げかけるシーン。
通常なら問いかけている本人を強調して感情移入しやすく誘導するところですが、画面に描かれているのは慧のみ。
「あたしじゃ助けてあげられない?」という大事なセリフも背中で語るように描かれる。そしてベッドに仰向けになる。
こういった感情が出る場面を直接描かないようにすることで仰向けになったときの開放感が何倍にも増すように見える。
簡単に言うと蓄積した感情の溜め(俗に言うタメの部分)が効果的に描かれているからキャラクターの魅力も倍増する。




グリペンが二段ベッドから降りるシーンも同じです。「パーティーでも空気が硬かった、変。」と心配するグリペン。
ここでも問いかけたグリペンを強調せずに相手側の慧をクローズアップして階段を降りるグリペンを少しだけ見せる。




「もし慧が作戦のために命をかけるつもりなら、私一人で行く。」と決意を語るグリペン。ここは表情がはっきり見える。
「違う、私は命が惜しいわけじゃない。」というセリフを言うまでは立場が上であるかのように見下ろす感じを強調する。
そしてアバンにつながる親指握り。ここからは下から見上げるようにして立場が同等、もしくは慧が上であることを示す。
ミンホアのシーンとは違い、徐々に感情を小出しにしながら最後にお互いの表情を真正面に描くことで決意の強さを表す。
『感情の逃し方』とくに受け手を強調することによってカタルシスを得られるようなコンテの切り方がとても良かったです。


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