物理的領域の因果的閉包性


映画 スリー・ビルボード (2017)

2022-05-23 その他



日本では2018年に公開されたアメリカ映画。あえて語るまでもないような映画好きなら誰でも知ってる名作。あらすじはググってね。
レイプされて殺された娘の母親が長い物に巻かれず抵抗するお話。差別意識が核になってる物語ですが、好きなのはそこじゃなくて、
ニルヴァーナ:In Uteroとザ・クラッシュ:ジョー・ストラマーのポスターが娘の部屋にあって、Rape Meが収録されたアルバムとか、
パンク好きを象徴する描写などと言われていますが、ストラマーの「Punk is attitude.Not style(パンクはスタイルではない、姿勢だ)
Do it your self(自分で考え行動を起こす精神こそがパンクだ)」の言葉通り、広告看板は意思表示、体制に屈しない強い精神を感じる。

あとこの映画で特徴的なのは唐突にシカやカメが登場するところ。映画の世界観に浸りたい人には邪魔な演出、でもこれがあることで、
レイプや自殺や差別といった生臭い描写が緩和され、いい息抜きになっている好きな演出。シカには生まれ変わりの意味があるらしい。




ガイ・リッチー監督の「ジェントルメン」でも、麻薬王:ミッキー・ピアソンの職場らしきところにドライ・アイが訪問するシーンで、
壁の絵画の他に昆虫やカニの標本っぽい絵が飾られていて、バー兼レストランのような場所には不適切な絵ばかりをあえて並べてる。
そしてこのシーンは高級肉を焼きながら語られる回想部分。あまり美味しそうには見えないことを狙って描写して大事な伏線にする。
スリー・ビルボードのカメのシーンも、写真立ての息子だけを見えるようにしたり、カルガモ親子のような置き物も照明で強調してる。
カメの母親は卵が孵化するまで守る、つまり歳を取っても息子を守り続ける母親をカメで表現してると考えれば見方も変わってくる。

ラストの車のシーンは往年の名作「明日に向って撃て!」と同じような感じですね。犯人がわからず中途半端という方もいますが、
犯人がいる場所に向かうところで終わる、つまり母親の復讐を描きたいんじゃなくて、娘の死にどう向き合ったのかを描きたかった。
いろんな捉え方ができる作品というのは賛否両論の意見が出てくるところも含めて楽しさの一部なんですが、自分は名作だと思います。



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