物理的領域の因果的閉包性


プリンセス・プリンシパル 第4話 『case9 Roaming Pigeons』

2017-07-31 2017


脚本:大河内一楼 コンテ:迫井政行 演出:山下英美 作画監督:飯田剛志

第4話は第1話の case13 から4つ前の case9 ですから、ちせ加入後でお互いの関係が親密に描かれています。
ですがプリンセスの二重スパイ疑惑やちせの本来の役割など、和やかな中にも裏があるように見せていました。
ひとまず理由や根拠は置いておいて、第4話の段階でこういう内容の話ができること自体がすごいと思うんです。

これまでスパイモノとしていくつも作品があったとしても、オリジナルで19世紀末を舞台にした架空の物語。
魔法少女まどか☆マギカと比べるのは筋も性質も違うとは思いますが、本題に入ったのは第10話でしたよね。
順序通り第9話でこれをやっても面白くない。最初に case13 があってこその case9、素晴らしい構成です。


ローミング【Roaming】はサービスエリア外でも通信ができることを意味するインターネット用語ですが、
【roam】の現在分詞で(あてもなく)歩き回る、放浪するという意味。【Pigeons】はハトのことですね。



ハトの骨格標本でググってみると似たような画像があったので比べてみました。部室にあるのと似ています。
平和の象徴であるハト、ドロシーが言った「白がいい」という言葉、プリンセスはグレーというL(エル)。
今はまだ瓶の中に閉じ込められた状態の白鳩ですが、これから大空に羽ばたけるようになればいいですよね。




プリンセス・プリンシパル 第3話 『case2 Vice Voice』

2017-07-24 2017


脚本:大河内一楼 コンテ:島津裕行 演出:博史池畠 作画監督:服部聰志 総作画監督:鶴窪久子



ノルマンディー公の部下をどうやって殺したのか描かれてませんでしたが、見るとロープが首に巻き付いている。
そしてロープを境にした左と右で明暗が分かれているような描き方。場面の削り方や見せ方が本当に素晴らしい。

ベアトリスがアンジェに砂糖を差し出したシーン。セリフのやり取りも楽しかったのですが、この紅茶と砂糖。
紅茶の発祥がイギリスというのは有名な話ですよね。その昔、紅茶は貴族や上流階級が飲む高価な飲み物。
それと同じくらい砂糖も昔は高価で、上流階級のシンボル。つまり紅茶に砂糖を入れるのは当然のことだった。
アンジェとベアトリスの関係も紅茶と砂糖と同様に親しくなった。そういう意味合いも表現されている気がします。

【vice】
・ 悪徳、不道徳、邪悪。不品行、堕落、非行。
・ (組織・制度・性格・文体などの)欠陥、欠点。
・ ... の代わりに、... に代わって。

サブタイトルにある【vice】にはこの他にも意味がありますが、悪や非行、欠点、~の代わりにという意味。
この話数ではベアトリスの欠点を、アンジェを助けるために、スパイ活動(悪)の一環として代わりに使った。
またベアトリスだけではなくアンジェもプリンセスに会うためにスパイになり、自分自身をも身代わりにした。
身体の一部が機械であることとスパイを演じきることは似ていて、2人ともプリンセスのために行動している。
表に出す部分は違っていても、アンジェとベアトリスは特定の部分で似通っているのが面白いところですね。




【2017夏】 TVアニメED なごみの5選

2017-07-19 OP・ED選


◆ セントールの悩み 『Edelweiss』


コンテ・演出:紺野直幸 作画監督:佐藤史暁
作詞・作曲・編曲:白戸佑輔 歌:亜咲花



エーデルワイスは花の名前で、直訳すると「高貴な白」、花言葉は「大切な思い出」「勇気」。
なぜ翼人の学級委員長がメインで描かれているのかわかりませんが、なにか意味ありげですね。
たまちゃんマジ天使とつい言いたくなるような映像と曲調。時が止まって雨粒が丸くなるとこが好き。



◆ 時間の支配者 『時間は窓の向こう側』


映像監督・コンテ:松根マサト コンテ・演出・原画:渡辺純央 
総作画監督:飯島弘也 総作画監督・第二原画:丸山修二
作詞・歌:やなぎなぎ 作曲・編曲:bermei inazawa 



イントロで時計が進むような音が入ってるんですが、そこが映像とピッタリ合っててとても心地良い。
浮遊感のある曲と歌声、それに合わせた美しい映像表現。シンプルですが作品のコンセプトにも合ってる。
上から照明で照らされたような演出は舞台を連想させます。人間も人生も舞台装置の一部であるかのように。



◆ Re:CREATORS 後期ED 『ルビコン』


コンテ・演出:あおきえい 作画:中井準
作詞・作曲:aokado 編曲:aokado、ゆうゆ 歌:三月のパンタシア



本編の良さは未だに理解できませんが、悔しいですが良いEDです。ミニチュアサイズはズルい。
BDよりアクリルキーホルダーのほうが売れるんじゃないですかね、とりあえずセツナを購入... 売ってないだと!?
ルビコンは小惑星の名前から?と思いましたが「賽は投げられた」で有名な川の名前なので、そこからでしょうね。



◆ NEW GAME!! 『JUMPin' JUMP UP!!!!』


コンテ・演出・背景・撮影:桒野貴文 原画・作画監督:渡邉祐記
作詞:烏屋茶房 作曲・編曲:eba 歌:fourfolium



先行上映で流したOP/ED無しをそのまま1話で使うような作品が増えた中で、意味のある2話からのED付き。
コウと青葉が手をつないで歩くとこなんか「うわぁ!」だし、ジャンプもそれぞれ違ってそれでいて着地は同じ。
ポップな色合いと曲調が癒されるし、今日も1日お疲れ様、明日もがんばるぞい!って励まされる日常系浄化ED。



◆ メイドインアビス 『旅の左手、最果ての右手』


コンテ・演出:中村亮介 作画監督:伊藤晋之、齊田博之、藤優子
作詞・作曲・編曲:橋本由香利 歌:リコ、レグ



筋肉少女帯の名曲『猿の左手 象牙の塔』はW・W・ジェイコブズの短編小説『猿の手』が元ネタですが、
楳図かずおの漫画『神の左手悪魔の右手』の影響もあったと言われていて、このEDタイトルは楳図かずおに近い。
だがリコとレグ、ナナチの3名が最果てを目指すことを願ったと考えれば『猿の手』にも通ずるものがあり奥深い。




【アニメノミカタ】 視点と論点

2017-07-18 その他


1989年8月15日に刊行された『こちら葛飾区亀有公園前派出所』第59巻に「おばけ煙突が消えた日」という話があります。
少年時代の両津勘吉と臨時担任としてやって来た若い女性教師・佐伯羊子、そのふれあいと別れが描かれています。
この話に出てくる「おばけ煙突」とは、見る方向によって煙突の数が1本から4本へと変化する「不思議な煙突」。



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テレビ画面は平面なのでどんなに立体的な動きをしていても一つの方向でしか物事を捉えることができません。
もちろんテレビの前で立つ位置を変えながら視聴しようというのではなくて、物事を平面的に考えないということです。
物理的にキャラクターが一人しかいないのに二人と仮定する。そうではなくて、物事の裏側や背景を想像するということ。
画面には映ってないけどあのキャラクターはこういう動きをしてるんではないか、こういう心情で行動してるんじゃないか。
そんなことを想像しながら動きや表情を追っていくと、もしかしたら?といった可能性や疑問が浮かんでくるようになる。


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プリンセス・プリンシパル 第1話 「case13 Wired Liar」の終盤。
西側に逃亡しようとしたエリックが、もう逃げられないと諦めてバッグと銃を捨てるシーン。
アンジェの「弾なら抜いてあるわ」という言葉を信用したから銃を捨てたのか?
エリックを殺すときに弾を込める動作をしなかったことからもわかる通り、アンジェは弾を抜いていなかった。
上の画像を見てもらうと、弾があるようにしっかり強調されて描かれています。

つまりどういうことかと言うと、
・ エリックは弾があると知りながら銃を捨てた。
・ アンジェを撃とうと思えば撃てたが、撃たなかった。

ではその理由を考えてみると、
・ もし逃げてもアンジェの仲間や内務省に殺されるとわかっていたから。
・ サインした用紙が生命保険のものと気付いて妹のためになると思ったから。
・ 両親が殺されたというアンジェの話を信じていたから撃てなかった。

詳しい理由は描かれていないのでわかりませんが、いろんな可能性が考えられます。
もしアンジェの言葉だけを信用していたら、弾が偶然残っていて殺された。そう思ったかもしれません。
また銃をよく見なければ、なぜ弾があってエリックが殺されたのか、なぜ死ぬとわかってサインしたのか。
そんな疑問さえ浮かばずに「良い話だった」と理解したフリをしてツイッターにつぶやいてたかもしれません。

見たままを素直に受け入れることも表現する側としては必要なことですが、それだけでは楽しくならない。
画面で起こったことをそのまま文章にするだけなら実況して楽しめばいい。せっかく読むなら価値がほしい。
あの人のツイートを見たから、あの人のブログを読んだから新しい発見があって楽しみ方が広がった。
そういう読み手でありたいし、書くときも何かプラスになるようなものでありたいと思っています。
説明が下手で申し訳ありませんが、また気付いたことがあれば更新したいと思いますのでよろしくお願いします。




プリンセス・プリンシパル 第2話 『case1 Dancy Conspiracy』

2017-07-17 2017


脚本:大河内一楼 コンテ:詩村宏明 演出:伊部勇志 
作画監督:大高雄太、金丸綾子、青木昭仁 総作画監督:鶴窪久子

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プリンセスが天使と悪魔という風に言っていましたが、立場的には王位継承第4位の王女と平民の特待生。
普通ならプリンセスのほうを立たせてアンジェのほうを見下ろしたり下からアオって不安を演出したりするもの。
しかし描写的には常に対等、映し鏡のように演出していて、そこがチェンジリング作戦と上手く噛み合っている。
モーガンの作戦がなければプリンセスは暗殺され、アンジェがプリンセスになる予定だったので、表裏一体。
どういう運命になるかわからないといった意味でも表向きの立場を演出しなかったのは素晴らしいと思います。

西側の外務委員であるモーガンが王国側に亡命するのを阻む理由は、1話で描かれたエリックと似ています。
王国側より西側の技術が優れているから情報漏えいは防ぎたい。エリックはそれをエサに内務省と手を組んだ。
1話の内容がわかっていれば2話で余計な説明はしなくて済む。こういうところに脚本と構成の上手さが光ります。

ではなぜノルマンディー公はモーガンを殺したのか、情報欲しさに亡命を手助けしようとしたことが表沙汰になる。
それを恐れたからでしょうね。プリンセスとアンジェ、モーガンとアンジェ、コントロールとノルマンディー公、
それぞれの駆け引きが微妙に交差しながらも、各キャラの心情や物語全体もちゃんと動いてる。すごい作品です。




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